リファクタリング・ウェットウェア

達人プログラマーの思考法と学習法

リファクタリング・ウェットウェア、「達人プログラマーの思考法と学習法」という副題を持った本を読んだ。原題を「Pragmatic Thinking and Learning」という。

そもそも知ってる人は知ってるけど、この出版社はThe Pragmatic Bookshelfと言って、プラグマティックということをその信条に置いている。そうすると、プラグマティズムってなんだ、ということなんだけど、実用主義、などと訳されているが、実践主義とかのほうがいいんじゃないかと本書を読んだ後では思う。

しかしとにかく、これは、とんでもなくすごい本ですぜ。読んでよかった。会えてよかった。ものすごくうれしい。本当に驚いたし、こういう言葉にしにくい概念を体系的にまとめてよくぞ書いてくれたという感謝だし、もはや、プログラマーであろうがなかろうが、学習者であろうがなかろうが、あなたが、知的生命体であるならまちがいなくおすすめだと思う。

僕は、たとえば、本書で言われている「達人」の域には全く達してないのだけど、いまからでもそれを目指したいと思ったし、いままで、僕が、おそらくは20代の頃から無意識的に「そこ」へ惹かれてきた領域、うまく言えないのだけど、なんだか非科学的、非論理的、神秘的、芸術的、詩的なこと諸々の部分、あるいは、創造であるとか、遊びであるとか、発見であるとか、アイデアであるとか、そういう人間的な部分、そういうものの秘密が、明かされたような気がしたのだ。

いまだ未読だが、僕がすぐさま連想したのは、グレゴリー・ベイトソンサイバネティックス)や、オートポイエーシスなどなどであった。たぶん、深く関係していると思う。あとは、前に、プログラミング関係で、遅延評価勉強法というのが話題になったことがあったけど、あれも大いに関係している。

あと、もちろん、そのものずばりプログラミング関係でいうと、アジャイルRuby(言語の持つ特徴)などと深く関連していると思われる。

この本にはこの本自体のマインドマップが付属しているのだけど、それが本書の思想を実に雄弁に物語っていると思う。すべては「つながり」であり「関係」であり「システム」であり「コンテキスト」なのだ。

だから、本書はなにか特別な分野のことを書いた本ではない。そうではなくて、それ以前に読んでおいたほうがいいというか、すべての本を読む前に、すべての学習を行う前に、それらの全体的な見取り図として、読んでおいたほうがいい、そんな種類の本だ。